認知症の症状とは?利用できる訪問看護のケア内容と利用の流れ

 医療機関コード 1212716579 


内科・外科・泌尿器科・精神科
医療法人社団御波会 面野医院
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認知症の症状とは?利用できる訪問看護のケア内容と利用の流れ

認知症は、進行性の脳疾患であり、記憶力や思考力、判断力などが徐々に低下する病気です。

認知症にはアルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など、さまざまな種類があります。これらの病気は、それぞれ異なる原因や症状を持ちますが、共通して見られる症状も多くあります。

この記事では、認知症の主な種類と代表的な症状、認知症の方が訪問看護を受けるメリット・デメリットやケアの内容について紹介しています。

認知症の主な種類

認知症とは、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能の低下により社会生活に支障をきたす状態です。

初期の段階では軽いもの忘れがあり、次第に判断力や記憶力の低下が見られるようになります。何らかの原因で脳細胞が死滅する、または働きが低下する場合に認知症の症状が現れると言われています。

認知症の主な種類は次のとおりです。

  • アルツハイマー型認知症
  • 血管性認知症
  • 前頭側頭型認知症
  • レビー小体型認知症

ここからは、4つの代表的な認知症についてみていきましょう。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、アルツハイマー病とも呼ばれる病気です。認知症の方の7割近くを占めると言われている一般的な病態です。

アミロイドβと呼ばれるタンパク質が蓄積し、脳の神経細胞が正常に機能しなくなるため、情報の伝達が阻害されます。

症状としては、記憶障害や見当識障害がみられます。判断力や理解力の低下、不安やうつ症状のような行動・心理症状が見られることもあります。

※参照元:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「認知症とアルツハイマー病は違うのですか?」

https://www.ncgg.go.jp/dementia/cause/001.html

血管性認知症

血管性認知症は、脳卒中と呼ばれる血管障害により脳の組織が破壊されることで発生する認知症です。

脳卒中には脳梗塞や脳出血といった病態が含まれ、脳の中の一部に血液が流れなくなると、その部分の働きが行われなくなります。

症状としては、記憶障害や認知機能障害がみられます。歩行障害やパーキンソン症状、排尿障害といった症状がみられることもあります。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、ピック病とも呼ばれる病気です。アルツハイマー型認知症と比べると、行動・人格・言語機能への影響が大きいと考えられている病態です。

脳の前頭葉・側頭葉などの組織が何らかの原因で変性したときや、遺伝性またはその他の病気によって前頭側頭葉変性症が発生します。

症状としては、記憶障害や見当識障害がみられます。理解・判断力の低下や、不安・うつ症状のような行動・心理症状がみられることもあります。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症の次に多いとされ、全体の約2割が発症するといわれている病気です。

脳の神経細胞に「レビー小体」と呼ばれるタンパクが固まり、神経細胞を傷つけて細胞の数が減っていきます。特に、記憶に関連する領域が萎縮しやすいという特徴があります。

症状としては、記憶障害や幻視、認知機能障害がみられます。動作が遅くなるパーキンソン症状や自律神経障害も発生することがあります。

認知症の代表的な症状

認知症の代表的な症状には「中核症状」と「周辺症状」の2つがあります。それぞれどのような症状なのでしょうか。

中核症状

中核症状とは、脳の細胞が破壊されて直接的に現れる症状のことです。主な症状は次のとおりです。

【認知症の中核症状】

症状内容
記憶障害直近の出来事を忘れる・新しいことが覚えられない
見当識障害聞いたことが思い出せない・新しいことが覚えられない
理解・判断力の低下考えるスピードが遅くなる・情報の処理スピードが遅くなる
失語言葉が出なくなる・会話や理解が困難になる・言葉の意味を忘れる
失行体の動作を正確に行うことが難しくなる(日常生活の動作など)
失認見慣れた人やものを認識できなくなる
実行機能障害問題解決や計画を立てる能力が低下する・機器が利用できない

これらの症状は、認知症の進行状況に伴って徐々に進行していきます。患者さんの日常生活やコミュニケーションにも大きな影響を与える可能性があります。

周辺症状(BPSD)

周辺症状(BPSD)とは、「認知症の方に出現する心理的および行動的症状」といわれます。

二次的に発生する症状で、すべての認知症に出現するとは限りませんが、脳に残存する神経機能が反応することでさまざまな症状が現れます。主な症状は次のとおりです。

症状内容
せん妄体調不良などによってイライラや興奮した状態になる
不安・抑うつ不安を感じる・気分が落ち込む・活動意欲が低下する
徘徊場所や時間がわからなくなり歩き回る、行き先がわからなくなる
睡眠障害不眠・昼夜逆転・睡眠時間が短くなる
幻視・幻聴実在しないものが見えたり聞こえたりする
失認見慣れた人・ものを認識できなくなる
その他物盗られ妄想・介護拒否・暴力暴言・弄便・失禁・異食・帰宅願望

脳機能の低下により、妄想や幻視・幻聴、その他の障害が現れやすくなります。

認知症の方が訪問看護を受けるメリット

認知症の方が訪問看護を受けるメリットは次のとおりです。

  • 軽度の時から関わることで進行を遅らせることができる
  • 住み慣れた自宅での暮らしをサポートしてくれる
  • 専門家によるケアで病状の安定を図れる
  • 家族への精神的支援・負担軽減

軽度の時から関わることで進行を遅らせることができる

認知症は徐々に進行する病気です。軽度の状態は「軽度認知機能障害(MCI)」として区別されています。

軽度認知機能障害は健常と認知症の間にありますが、まだ認知症として診断される段階ではありません。基本的な日常動作や生活が可能であり、「もの忘れが増えてきた」などと患者さん自身が認知できる状態です。

まだ症状が進んでおらず軽度の状態で適切に訪問看護を受け、適切に医療や人とのコミュニケーションにかかわっていくことで、認知症への移行を遅らせられる可能性があるのです。

住み慣れた自宅での暮らしをサポートしてくれる

訪問看護では、住み慣れた自宅で暮らしながら必要な看護ケアが受けられます。通院の際に道や時間を間違えたり、医師のアドバイスを聞き逃したりするリスクが減らせるため、患者さんにとって安心感があります。

高齢で足腰が弱っており歩くのが難しい方や、既往症がある方も、通院の不安なく必要な医療ケアを受けられます。

専門家によるケアで病状の安定を図れる

訪問看護は看護師や療法士が、患者さんに合わせた看護を提供します。

看護師は健康状態をチェックし、必要な医療処置や服薬指導を実施します。専門的なケアやアドバイスが受けられる点がメリットです。

将来的に認知症やその他の症状が進行することも踏まえてケアを継続するため、在宅での生活を可能なかぎり長く続けることができます。

家族への精神的支援・負担軽減

訪問看護では、家族に代わって専門家である看護師や療法士がケアを行います。ご家族の負担を軽減し、さらにストレス軽減のためのアドバイスや相談、カウンセリングが提供される場合もあります。

必要に応じて、服薬についてのアドバイスや管理方法、医療処置の方法について指導を行います。また、利用できる福祉サービスの情報を提供することもあります。専門家のサポートによってご家族が孤独ではなくなり、QOL(生活の質)の向上にも寄与するでしょう。

認知症の方が訪問看護を受けるデメリット

認知症の方が訪問看護を受けるデメリットは次のとおりです。

  • すぐに来てもらえない場合がある
  • 費用の加算がある可能性がある
  • 医療ケアに限界がある

在宅で受けられる看護ケアは限られているため、デメリットに注意して利用することが大切です。

すぐに来てもらえない場合がある

訪問看護師や療法士は、複数の利用者をサポートしています。スケジュールやその日の交通状況、その他の緊急事態が発生したときに訪問時間が前後する場合があります。

地域によっては訪問看護師の人数が不足しており、サービス提供までに日数を要するケースもあります。

費用の加算がある可能性がある

在宅医療では、特定の医療行為を受けたときや追加でケアが必要になったときに費用加算があります。訪問看護の頻度を増やしたときにも、追加として費用が加算される仕組みです。

具体的な加算割合は利用者ごとに異なるため、かかりつけの医療機関へお問い合わせください。

医療ケアに限界がある

訪問看護は、利用者の居宅に専門家が出向いてケアを実施する看護方法です。そのため、病院と同程度やそれ以上のケアは実施していません。専門的な医療処置、手術のような外科的治療や入院・リハビリテーションは、外部の施設を利用することになります。

認知症の方への訪問看護のケア内容

認知症の方への訪問看護のケア内容は以下のとおりです。

  • 身体状況・生活状況の観察と把握
  • 服薬管理
  • 食事・排泄などの基本的ケア
  • 心理的ケアと認知機能の維持
  • リハビリテーションの提供
  • 家族へのサポート

訪問看護では医療的処置に加えて、リハビリテーションやご家族へのサポートも行います。利用者である認知症の方の状況に合わせて必要なケアを提供しています。

身体状況・生活状況の観察と把握

認知症の方は、認知機能や判断力が低下しているため、現状を正確に把握し、他者に伝えられないことがあります。

軽度であれば「もの忘れがある」と認識できますが、認知症が進行するとその判断が難しくなっていくため、訪問看護師などが身体や生活の状況を観察し、把握しなければなりません。

服薬管理

認知症の症状進行を遅らせるためには、服薬管理や服薬指導が重要です。利用者が服用している薬の種類・量を把握し、投与方法を確認して薬の整理を行います。医師の指示に基づいて服薬スケジュールを作成し、利用者とそのご家族に服用方法を伝えます。

薬によって飲むタイミングが異なるときは、タイミングと注意事項(飲み合わせなど)を伝えます。さらに、服薬が正しく行われているかを観察し、副作用があればすぐにかかりつけの医師に報告します。患者さんの服薬をモニタリングすることも訪問看護師の重要な役割です。

食事・排泄などの基本的ケア

食事介助や栄養指導のような食事のケアと、ポータブルトイレの利用サポートやおむつ交換、排泄のパターン・頻度の記録といった排泄のケアを提供します。

排泄機能が低下している方には、時間を決めて規則的にトイレへ向かうといったトレーニングも実施します。

心理的ケアと認知機能の維持

認知症の方は初期の軽度な状態から少しずつ進行しますが、機能を維持するためには適切なコミュニケーションや看護ケアが重要です。

今までは当たり前にできていたことがうまくいかない、家族に迷惑をかけているかもしれないといった落ち込みもヒアリングし、自己肯定感を高められるような心理的ケアを行います。

リハビリテーションの提供

専門的な資格をもつ療法士が、運動療法・作業療法・言語療法といったリハビリテーションを提供します。一人ひとりの状況に合わせて、機能が低下している部分を中心に機能訓練を実施し、定期的に評価・調整が行われます。

家族へのサポート

訪問看護の利用中、ご家族は認知症の方をケアから離れられるため、肉体的・精神的な負荷から解放されます。普段のストレスが少なく、ご家族にとって安心できる時間です。

また、看護師や療法士は介護に関する悩みをヒアリングしたり、必要な情報を提供したりといったサポートを行い、在宅介護への不安を軽減します。

認知症の方が訪問看護を利用するときの流れ

訪問看護の対象となるのは、40歳以上で要支援・要介護認定を受けている方か、医師が訪問看護を必要と認めた方に限られています。

介護保険を利用した訪問看護では、はじめに地方自治体の介護保険を担当する窓口で申請し、申請書と医師の診断書などを提出して要支援・要介護認定を受けます。介護保険の対象にならない場合は、医療保険を利用してください。

認定を受けると、介護予防ケアプランまたはケアプランを作成し、主治医から訪問看護指示書が発行されます。専門の訪問看護ステーションと契約し、計画に基づいて訪問看護が行われます。

認知症と診断されたら訪問看護も選択肢のひとつ

今回は、認知症の種類や症状、利用できる訪問看護について、メリット・デメリットと流れを紹介しました。

認知症は脳に起きる変化によって引き起こされる病気ですが、すぐに進行するものではありません。早期に診断を受けてケアを始めることで、進行の予防や症状の適切な管理が可能です。

ご家族にとっても、認知症への理解を進めることが大切です。在宅で認知症の方をケアする際には、訪問看護の利用を検討してみてはいかがでしょうか。


市川市・浦安市で訪問診療の受診をお考えの方は、

            南行徳の面野医院 (訪問診療専用番号 047-321-4600)へご相談ください。

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