訪問診療とは?対象者の特徴・条件や訪問を受けるメリットも解説
高齢化社会が到来し、自宅で看護や処置を受ける「訪問診療」が注目されています。訪問診療は、医師や医療スタッフが患者さんの自宅を訪れるため、患者さん側の通院は不要です。
在宅の状態でケアが受けられるため患者さん側の負担が少なく、病院へ通院できない方にとって大きなメリットがあります。さらに、患者さん一人ひとりに寄り添ったケアが行えるため、医療の質の向上にも寄与します。
この記事では、訪問診療の概要やメリットについて紹介します。訪問診療の対象者やデメリットも取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。
訪問診療とは、医療上の必要性がある患者さんの自宅や施設に医師などが訪問し、診察や処置を行う医療サービスです。
一般診療・薬の処方・検査(超音波や心電図などの一部の検査)・検査結果の解説・リハビリテーション指導・専門病院などとの連携といった幅広いサービスが提供されます。医師は患者さんの生活や健康状態を把握し、治療の経過をみながら治療の方向性を決めていきます。
訪問診療では、患者さんの健康状態や症状、必要な処置内容に合わせて、医師・看護師・薬剤師がチーム医療を提供します。高齢の患者さんや、慢性疾患や障害を抱えており病院に通えない方にも便利なサービスと言えるでしょう。
往診とは、救急医療や急患への訪問診療を指す言葉です。必要に迫られた場合に医師や看護師が駆けつける医療サービスで、定期検診とは異なります。
訪問診療と往診の違いは次のとおりです。(※)
【訪問診療と往診の違い】
名称 | 概要 | 利用者の特徴 |
---|---|---|
訪問診療 | 通院困難な患者の元を定期的に訪れて診療を行う | 通院が難しい患者 急患ではない |
往診 | 医師などが予定外に患者の元に赴き診療を行う | 通院が難しい患者 急患である(診療上必要があると認められる場合) |
※参照元:内閣府地方創生推進事務局「往診・訪問診療とは」
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150123siryou02_2.pdf
訪問診療は、自力または介護者とともに病院へ通院できない方が対象となります。
具体的な対象者の分類は次のとおりです。
訪問診療は、上記のようにさまざまな状況に置かれている患者さんのニーズに応えるための医療サービスです。
患者さんとそのご家族や介護者の医療の質を向上させるために、柔軟かつ包括的なケアを提供しています。
※心不全・呼吸器疾患のように通院が負担となる病気に罹患している方
訪問診療におけるメリットは次のとおりです。
訪問診療を提供している医療機関や事業者によって異なりますが、24時間対応が受けられる場合は、夜間など病院にかかれない時間帯でも安心して医療サービスが受けられます。緊急時に駆けつけてくれる往診のようなサービスを提供しているケースもあります。
対応可能な時間帯については、訪問診療を受ける前に医療機関や事業者に確認してください。緊急時にすぐ訪問してもらえるのか、救急病院との連携体制なども確認しておくと安心です。
外来が混雑し、長時間の待ち時間が発生するようなケースに対応できない方は、訪問診療の利用が良いでしょう。
たとえば、長時間座ったり立ったりといった姿勢の維持が難しい方や、認知症や障害のために待つことが困難な方は、身体的負担のない訪問診療が適しています。
寝たきりの状態で終末期を過ごしており、住み慣れた場所で医療ケアを受けたい方も同様に、通院や待ち時間の心配がない訪問診療の利用を検討できます。
患者さんは自宅にいながら家族のサポートが受けられます。病院まで移動し、現地で受付や待ち時間を経て診察や検査を受けるといった身体的・心理的負担がなく、リラックスした状態で治療が受けられます。
家族と一緒に医師の説明やアドバイスを聞くことができ、家族の目が届く場所で診察やケアが受けられるため、一人きりにならない安心感もあるでしょう。
次に、訪問診療のデメリットを確認していきます。
通院には身体的・心理的な負担を伴うことがありますが、訪問診療にもデメリットがあります。
それぞれのポイントを確認していきましょう。
通院の送り迎えや介助のような負担はありませんが、看護師・介護士といった職員が不在のため、患者さんのサポートをご家族が行わなくてはなりません。
医師は処置などの対応を行いますが、寝起きの介助やその他のケアは行わないため、訪問診療には介助者のサポートが不可欠です。
訪問診療は1ヶ月に1回など一定の間隔で受診できますが、そのたびにサポートに入らなければならないため、負担が増える点には注意が必要です。
訪問診療では専門的な治療やケアは行わず、定期検診として基本的な診察や薬の処方を行います。専門的な治療を必要とする方は専門病院の受診や入院を検討する必要があります。
注射のように看護師が実施するケアについても、予防接種のように在宅で可能なもののみに限られます。在宅で受けられる治療には限りがあることを念頭に置かなくてはなりません。
手術や各種検査(CT検査など)、医療行為に伴う機能訓練などは、いずれも専用の医療機関や施設で提供されるサービスのため、在宅では受けられません。
検査についても、血液検査・尿検査・心電図検査といった基本的な検査は在宅で受けられますが、特殊な機材や設備を必要とする精密検査や、専門の技師が担当する検査は医療機関の受診が必要です。
放射線治療のように、高度な医学管理と専用の設備の元で行われる治療も同様です。最先端の治療を受けたいときは、治療に対応できる医療機関を選びましょう。
訪問診療にかかる費用は診療内容や提供者によって異なりますが、費用の相場は次のとおりです。
初診料や再診料、治療・検査費用といった費用にはそれぞれ点数が設定されており、それに基づいて計算されます。
診療報酬制度上、診療報酬点数は一律で決められています。自由診療のように費用相場が病院ごとに異なる心配はありませんが、患者負担の割合が1割か3割か、または処方される薬の種類や量など、細かい要因によって費用が異なります。
実際にかかる費用は、保険適用の有無によっても変わります。保険適用外の治療や薬については10割負担となるため注意が必要です。
かかりつけの訪問診療の相場を知りたい場合は、サービス提供者に直接問い合わせてください。その際、どの項目の相場を知りたいか(薬の費用や検査費用など)も伝えておくと安心です。
今回は、訪問診療の概要や対象者の特徴、利用のメリットやデメリットについて紹介しました。
訪問診療は、通院が難しい方の生活の質を高め、看取りにも対応できる方法です。通院のたびに送り迎えや介助を行う必要がないため、ご家族の負担軽減にも貢献します。患者さんご自身にとっても、受診までの移動や身体的な負担、心理的な不安感を軽減して医療サービスが受けられるため、一定のメリットがあります。
定期検診や既往症治療のための薬の処方は在宅でも受けられますが、一部の検査や治療には病院での対応が必要な場合もあります。健康状態やニーズに合わせて適切な医療サービスを選ぶことが重要です。
市川市・浦安市で訪問診療の受診をお考えの方は、
南行徳の面野医院 (訪問診療専用番号 047-321-4600)へご相談ください。