「在宅医療を選択したいけど後悔しないか心配」「後悔しないための対策を教えてほしい」などと考えていませんか。詳細がわからず困っている方も少なくありません。在宅医療には、生活の場で療養生活を送れるなど、さまざまなメリットがあります。一方で、後悔しやすい点があることも事実です。詳細を確かめてから、検討を進めることが大切といえるでしょう。ここでは、在宅医療の概要とそのメリットを解説し、後悔しやすいケースとその対策についても紹介します。判断材料を集めている方は、参考にしてください。
自宅をはじめとする生活の場で、診療、治療、処置などを行うことを在宅医療といいます。具体的には、医師、看護師、理学療法士、訪問介護員などが生活の場を訪れて、医療サービスや介護サービスなどを提供します。必要に応じて、歯科医師、薬剤師、栄養士などの専門家が在宅医療に加わることもあります。
在宅医療の代表的な取り組みとして、訪問診療と往診があげられます。それぞれの定義は以下の通りです。
診療の分類 | 定義 |
---|---|
訪問診療 | 在宅療養を行う患者であって、疾病・傷病のため通院が困難なものに対して定期的に訪問して診療を行うこと。 |
往診 | 医師が、予定外に、患家に赴き診療を行うこと。 |
引用:内閣府 地方創生推進事務局「往診・訪問診療とは」
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150123siryou02_2.pdf自宅在宅医療を受けている患者さんの容体が悪化するなど、必要性が生じた場合は医療機関に入院して治療を受けます。この場合も、在宅医療を担っているかかりつけ医と医療機関が連携を図るため、治療の継続性は原則として保たれます。
在宅医療の主なメリットは以下の通りです。
在宅医療を選択すると、住み慣れた環境で療養生活を送ることができます。他の入院患者さんに気を使ったり、医療機関が定める就寝時間や起床時間を守ったりする必要はありません。また、特別な指導がない限り、食事も自宅で調理した好きなものを摂ることができます。これまでのライフスタイルを守りながら、療養生活を送れる点は魅力です。
通院の負担を軽減できることも少なくありません。医師や看護師などの専門家が、生活の場を訪れて医療サービスなどを提供してくれるためです。療養期間中の通院は、患者さんおよびそのご家族にとって、大きな負担となる場合があります。例えば、足腰が弱り移動が難しくなる場合や、付き添いのために仕事を休まなければならない場合が考えられます。これらの負担を軽減できる点も、在宅医療を選択する大きなメリットの一つです。
在宅医療を選択すると、ご家族と過ごす時間を確保しやすくなります。ご家族と共に過ごす生活の場で療養生活を送れるためです。病院が定めた面会時間を気にする必要はありません。ご家族が多忙な場合でも、一緒に過ごす時間を確保しやすくなります。
在宅医療を選択して「後悔した」と感じることもあります。ここからは、在宅医療を選択する際に注意したいポイントを解説します。
在宅医療を利用すると、生活の場で診療や治療などを受けられます。ただし、24時間365日、必要なサービスを受けられるわけではありません。サービスを受けられない時間帯は、原則としてご家族が介護などを行う必要があります。具体的な負担感はケースで異なりますが、想定より大きいため後悔する方もいます。例えば、介護離職を余儀なくされたケースなどでは、後悔するケースが多いと考えられます。特定の方に負担が集中すると、トラブルが発生しやすくなります。この点を踏まえて、対策を講じることが大切です。
自宅などで診療や治療などを受けられる在宅医療ですが、医療機関と同じことができるわけではありません。在宅医療で可能なことには限界があります。例えば、入院しているときと同じように、医師や看護師が駆けつけることは難しいでしょう。緊急時であっても、到着まで一定の時間がかかります。また、希望する治療や検査が在宅医療では対応できない場合もあります。選択してから後悔しないため、できること、できないことを整理しておくことが大切です。
在宅医療にかかる費用にも注意が必要です。生活の場で療養生活を送るため、患者さんの状態によっては医療費に加えて介護費がかかります。費用が高額になりやすい点には注意が必要です。負担額が一定額を超えた場合には、高額療養費制度や高額介護サービス費など、自己負担額を軽減するための制度を利用することが可能です。ただし、介護保険の支給限度基準額を超えた場合など、これらの制度を利用できないケースもあります。想定したより高額な費用がかかって後悔する方もいます。
続いて、在宅医療で後悔しないための対策を紹介します。
在宅医療を選択する前に、情報収集をしておくことが大切です。ここで取り上げる情報は、大きく以下の2つに分類されます。
【情報】
後悔しないため、在宅医療でよいか考える判断材料が必要です。メリット、デメリットを含めて、在宅医療が適しているかを判断するための材料を集めましょう。在宅医療を選択する場合は、準備をするために必要な情報を集めます。具体的には、訪問診療に関する情報、介護保険サービスに関する情報、自宅の環境整備に課する情報などが考えられるでしょう
患者さんの意思を確認しておくことも大切です。「自宅で療養したい」などの強い希望があれば、前向きに準備を進められます。また、患者さんの満足がご家族の満足感につながるケースも多く見られます。意思を確認するときは、本心を引き出すことが重要です。家族に迷惑がかかる、環境が整っていないなどの理由で、本心を打ち明けられない方もいます。在宅医療のメリットやデメリット、利用可能なサービス、家族のサポート体制などを説明した上で、患者さん本人の意思を確認することが推奨されます。
ご家族だけで患者さんを支えようとしないことも、在宅医療で後悔しないコツです。ご家族だけで抱え込むと、心身の余裕を失い、患者さんとの関係に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状態になると、在宅医療のメリットを感じられなくなる場合があります。必要な医療サービスや介護サービスを利用して、患者さん、ご家族とも安心して暮らせる環境をつくることが大切です。費用が気になる場合は、専門家に相談して自己負担額を抑えられる方法がないか確認するとよいでしょう。
介護保険サービスを利用する場合は(要介護認定取得済み)、在宅医療を選択する前にケアマネジャーへ相談しておくことをおすすめします。ケアマネジャーは、介護を必要とする方から相談を受けて、介護サービスを受けられるように計画を立てたり、サービス事業者や市区町村などと連絡調整を行ったりする専門家です。要介護度に基づき、利用できるサービスの内容や量を教えてくれます。また、在宅医療に向けて、関係機関との連絡調整も行ってくれるはずです。要介護認定を取得したい方は、受給要件を確認したうえで、市区町村の窓口や地域包括支援センターで相談するとよいでしょう。
在宅での生活を支えるサポート体制も構築する必要があります。具体的なサポート体制はケースで異なりますが、かかりつけ医、看護師、薬剤師、理学療法士、ケアマネジャー、介護福祉士などのチームが考えられます。かかりつけ医、ケアマネジャー、医療機関に所属しているソーシャルワーカー(MSW)などに相談すると、サポート体制を整えてくれるはずです。
ここでは、在宅医療について詳しく解説しました。在宅医療の主なメリットは、住み慣れた環境で療養生活を送れることです。ただし、家族に大きな負担がかかる、希望する治療を受けられないなどの理由で、後悔することもあります。後悔を避けるためには、情報収集を徹底し、サポート体制を整えた上で選択することが重要です。在宅医療を希望している方は、かかりつけ医やケアマネジャーなどに相談するとよいでしょう。
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