認知症で入院する場合の費用目安は?安く抑えるポイントと注意点

認知症になると、症状によっては入院が必要になってしまうことがあります。しかし、入院する場合、どの程度の費用がかかるのか気になる方も多いでしょう。

そこで、認知症の入院費用について詳しく知りたい方のため、費用の目安について解説します。

この記事を読むことによって認知症で入院が必要になるケースや主な費用、入院費用を安くするためにおさえておきたいポイントなどがわかるようになるので、ぜひご覧ください。

認知症で入院が必要になるケース

認知症で入院が必要になるのはどのようなケースなのでしょうか。ここでは、代表的なケースを4つ紹介します。

もちろん、これらに該当するからといって必ずしも入院しなければならないわけではありません。

家族間などで話し合いをしながら検討していく形になります。

妄想や幻覚症状が目立つ

認知症の代表的な症状には、妄想や幻覚症状が含まれます。本人や家族の生活を脅かすような妄想・幻覚症状が出ている場合、自宅で対応するよりも専門家のもとで診てもらったほうが安全と言えるでしょう。

症状がひどい場合は同居している家族や介護者にとって大きな負担になってしまいます。

人に危害を加える可能性が高い

周囲にいる人に対して何らかの危害を加える可能性がある場合も入院を検討したほうが良いでしょう。

自宅でのケアでは対応しきれなくなることも珍しくありません。実際に危害を加えていない場合でも、その傾向がある場合は一度病院で入院について相談すると良いでしょう。

怒りっぽくなり、暴言・暴力につながる

認知症になると怒りっぽくなってしまうことがあります。初期症状として怒りっぽくなることもあり、怒り出すきっかけは非常に些細なことです。

これまで穏やかだった人が突然怒り出すこともあります。暴言を吐かれるだけでもストレスになりますが、暴力を振るわれるケースでは早い段階で入院の検討が必要です。

落ち込みや不安が目立つ

認知症になると精神的に安定しにくくなり、激しく落ち込んでしまうことがあります。

落ち込みや不安が目立つ場合も、程度によっては入院したほうが良い結果を招くこともあるので、一度病院で相談してみると良いでしょう。

認知症での入院にかかる主な費用

認知症で病院に入院する場合、どういった費用がかかることになるのでしょうか。

認知症で入院する場合、月に7万円以上の費用がかかることがあります。これは入院費用のみを考えた場合の金額です。他にも病院内で生活していくにあたり、さまざまな費用がかかります。

ここでは、代表的な費用項目と、どの程度の費用がかかるのか目安を解説していきます。

検査費用

認知症の状態を調べる検査を受けるには、費用がかかります。さまざまな検査を行い、認知症であると確定診断を受けなければなりません。

MRI検査や心理検査などが行われることになります。

検査自体は治療ではありませんが、治療に伴うものであり、健康保険が適用されるのでそれほど高額にはなりません。3割負担の場合でも、数千円から数万円程度で済みます。

なお、検査については入院したあとも必要に応じて行われることになります。そのときにも費用がかかることになるので、具体的にどの程度の費用がかかるのか、事前に相談や確認をしておくと良いでしょう。

治療費用

入院費用のなかでも特に大きくなりやすいのが、治療費用です。

具体的にどの程度の費用がかかるかは、行われる治療内容と入院日数によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

一般的には1日当たりの入院基本料が決められており、それに入院日数を掛ける形で治療費用を計算します。

認知症の治療は医療保険が適用されます。ただし、厚生労働省から承認されていない治療や薬を用いて治療を行う場合、保険は適用されません。すべて自己負担となり、全額費用を支払う必要があります。

差額ベッド代

入院するにあたり、大部屋ではなく個室や2人部屋を希望する場合は、差額ベッド代を支払わなければなりません。費用の目安は、1日あたり6,000円から7,000円程度です。

ただし部屋のタイプによっても違いがあり、場合によっては個室を希望すると1日あたり10,000円近くかかることもあります。

病院によってはホームページなどで個室の詳細や差額ベッド代について紹介していることもあるので、確認してみると良いでしょう。なお、大部屋を選べば差額ベッド代はかかりません。

食事代

入院中の食事代も支払います。食事代は法律によって全国一律1食460円と定められており、1日3食だと1日当たり1,380円です。1カ月あたりで計算すると、40,000円程度になります。

基本的に食事代に保険は適用されませんが、住民税非課税世帯や生活保護受給者の場合は減額または免除されるため、別途確認しておくことをおすすめします。

交通費

入院時と退院時の交通費がかかることになります。また、家族が面会に訪れる場合は、そのために必要な交通費についても考えておかなければなりません。

特に入院施設が遠い場合や、入院期間が長引く場合は交通費だけでもかなりの出費になることがあります。

実際に利用する予定の交通手段で具体的にどの程度の費用がかかるのかシミュレーションしておきましょう。金額が大きくなる可能性を考慮し、家族の中で誰が交通費を負担するのかについても事前に決めておくことをおすすめします

生活費

入院生活中は、様々な生活費がかかります。例えば、自分の部屋でテレビを視聴したり、売店で軽食や雑誌を購入したりする費用が必要です。

入院期間が長くなるほど生活費もかかることになります。病院内でどういった生活をするのかによってどの程度の生活費が必要になるのか変わります。

日用品代

入院治療中に必要となる日用品は、全額自己負担となります。入院中に必要になる日用品の一例は、以下のとおりです。

【日用品】

  • おむつ
  • 下着
  • 歯ブラシ・歯磨き粉
  • シャンプー
  • ティッシュペーパー
  • タオル

病院によっては、必要と考えられる日用品をまとめて購入できるセットを用意している場合もあります。しかし、事前に自身で用意しておいたほうが安く済むこともあるため、余裕があれば準備しておくと良いでしょう。

入院保証金

入院保証金とは、入院時に預け入れるお金のことです。相場は5万円から10万円程度であり、賃貸契約における敷金のようなものと考えると理解しやすいでしょう。

入院費用に充当されることになり、事前に預けておいた保証金よりも実際にかかった入院費用が安かった場合は、その差額分が戻ってきます。

反対に、保証金では足りなかった場合は差額分が追加費用として請求される形です。

病院によっては入院保証金が必要ないところもあるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

入院費用を抑えるためのポイント

認知症の入院費用を安く抑えるにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、3つのポイントを解説します。

高額療養費制度を活用する

高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が一定以上の金額になった場合に利用できる制度です。毎月1日から末日までの1ヶ月間の間に支払う医療費が設定されている自己負担額を超えると、払い戻しが受けられます。

ただし、自動で適用されるものではなく、支給申請が必要であるため、忘れないように注意しましょう。なお、公的医療保険の制度であるため、保険適用外である場合の入院中の食費や差額ベッド代などは含まれません。

自己負担上限額は年齢や所得によって異なるので、自分の場合はいくらになるのか確認しておきましょう。

限度額適用認定証を利用する

前述した高額療養費制度を利用する場合、払戻は診療月から約3ヶ月後となっています。しかし、支払い時点でお金を用意するのが難しい方もいるでしょう。

そういった方は、限度額適用認定証を取得しておきましょう。

会計時に提示できるように限度額適用認定証を申請しておけば、支払い時点で自己負担上限額までの支払いで済むようになります。限度額適用認定証は、加入している医療保険に対して申請を行ってください。

事前に限度額適用認定証を病院側に提出しておけば自己負担限度額のみの支払いで済みます。

高額医療費貸付制度を活用する

高額医療費貸付制度とは、高額療養費制度によって払い戻しされるまで無利子で医療費負担分の一部を貸し付ける制度のことをいいます。

限度額適用認定証があれば会計時の支払いが自己負担限度額までに抑えられますが、限度額適用認定証は事前に申請しておかなければなりません。申請をしていたものの会計時まで用意できなかった方や、そもそも高額療養費制度というものを知らず、申請をしていない方などは高額な医療費を一時的に支払わなければなりません。

金銭的に困難を感じる方は、高額医療費貸付制度の活用を検討しましょう。

認知症での入院に関する注意点

認知症で入院する場合、いくつか注意しておかなければならないポイントがあります。特に以下の3つについてはよく確認が必要です。

入院を断られる可能性がある

認知症で入院を希望したとしても、必ずしも入院できるとは限りません。場合によっては断られてしまうことがあります。

特に介護を拒否する方や暴力を振るう方、徘徊の傾向がある方などは病院でも対応できなかったり他の患者さんへの影響を考えたりして断られることがあります。

一般病棟ではなく認知症専門病院であればこういったことは少ないので、専門病院に相談することを検討すると良いでしょう。

症状が進行する可能性がある

入院中に症状が進行する可能性があります。これまでとは異なる環境で過ごすことで精神的なストレスが生じたり、周囲に馴染めないことなどが理由でコミュニケーションが減少し、脳への刺激が不足してしまうことが原因です。

そのため、入院して治療を行ったからといって必ずしも認知症が改善するとは限らない点について、十分に理解しておく必要があります。

退院を促される可能性がある

入院できたとしても病院内でなにかトラブルを起こしてしまったり、その病院では対応できないと判断されたりした場合は退院を求められることもあります。

その場合は自宅で介護を行うことを検討するか、転院先を探す必要があります。

認知症での入院に備えてやっておくべきこと

認知症で入院することが決まったのであれば、入院のための準備を行いましょう。以下の3つは必ず準備することになります。

通帳や印鑑・保険証をそろえておく

入院の手続きをするにあたり、通帳や印鑑、保険証などが必要です。これらをひとまとめにしておきましょう。

認知症で入院する場合、本人の代わりに家族が手続きするとしても、本人の印鑑が必要です。認知症の方は物忘れが激しく、通帳や印鑑、保険証などをなくしてしまうこともあるので、確実にあるか早い段階で確認しておくことをおすすめします。

服用薬や持病を確認しておく

持病があり服用している薬がある場合は、それらを持って行くことになります本人が服用している薬の種類がわからない場合は、お薬手帳で確認できます。

服用薬については正しく把握して伝えておかないと入院先の病院側で投薬ができない可能性があるので、注意しましょう。

お薬手帳がない場合はかかりつけの病院に確認するなどして正確な情報を得ておく必要があります。持病についても事前に確認しておいてください。

加入している保険の契約内容を確認しておく

入院予定の方が現在加入している保険を確認しておきましょう。加入している保険によっては入院することで入院費用が出ることもあります。

入院を検討しているものの費用面で不安がある方も、医療保険で賄うことが可能であれば安心につながるはずです。経済的な負担を抑えることにもなるので、加入している保険の契約内容をよく確認しておきましょう。

退院後の選択肢

入院する時のことだけではなく、退院後の選択肢についても考えておかなければなりません。代表的なケースを解説していきます。

在宅介護

入院から在宅介護に切り替える方法もあります。認知症の状態によっては在宅でケアしていくのが家族にとって大きな負担になることもありますが、そういった場合も訪問診療や在宅介護サービスを利用することで負担を抑えられます。

在宅でケアを行う場合は、これらのサービスを積極的に活用しましょう。

より認知症治療に特化した病院への転院

認知症が悪化したために退院を迫られたようなケースでは、より認知症治療に特化した病院であれば入院できる可能性があります。特に、自宅でケアするのが難しい状態である場合は、専門的な対応・治療が可能な病院への転院を検討すると良いでしょう。

どのような病院の選択肢があるのかわからない場合は、現在入院中の病院でソーシャルワーカーに相談することをおすすめします。

介護施設入所の検討

認知症でも入居可能な介護施設も選択肢の一つです。認知症だと介護施設に入るのは難しいのではないかと思ってしまいますが、実際には対応している施設は多く存在します。

代表的な選択肢としてグループホームが挙げられますが、他にもさまざまな施設が対応しているため、利用料金やサービス内容を含めて検討しましょう。

費用面の疑問は必ず入院前に確認を

いかがだったでしょうか。認知症で入院する場合、どのような費用がかかるのかについて解説しました。金額の目安や、どういったものに費用がかかることになるのかご理解いただけたかと思います。

費用面について不明な点がある場合は、入院を決める前に病院に確認してください。

入院について検討してはいるもののまだ自宅でケアしたいと考えているのであれば、在宅診療(訪問診療)を受けるのも一つの方法です。在宅医療について検討しているのであれば、面野医院までご相談ください。

それぞれの状態に合った形で対応しています。


市川市・浦安市で訪問診療の受診をお考えの方は、

            南行徳の面野医院 (訪問診療専用番号 047-321-4600)へご相談ください。

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