医療従事者による訪問診療は、自宅などに居ながら移動せずに診察・検査などが受けられるサービスです。
近年、高齢化社会の到来と地域医療の需要増により、訪問診療が注目されています。また、訪問診療の一種である往診も一定の需要がある医療行為といえます。
この記事では、往診の特徴と利用シーン、訪問診療の特徴と利用シーンについてそれぞれ紹介します。両者の違いやどちらを選ぶべきかといったポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
往診とは、外来で通院することが難しい方で、緊急的に処置が必要になったときに医師や看護師が自宅や施設を訪問して診察を行う医療サービスです。
通常は健康チェックを目的とした診察や薬の処方が行われますが、簡単な検査、医療アドバイス、相談の対応なども併せて提供されます。
往診の対象は高齢者や障害を持つ方とされています。しかし、何らかの事情で自宅で往診を受ける必要があると判断された場合には、年齢や障害に関係なく往診を利用することが可能です。
往診は緊急的に対応する医療サービスであり、訪問診療のように定期的なスケジュールに沿って行うものではありません。
診察や治療といった医療行為は訪問診療と共通していますが、患者の体調が悪化した場合に限られる点が特徴です。
往診によって緊急かつ専門的な処置が必要と判断された場合は、救急と連携し入院などの処置を行うことになります。往診は訪問診療の一形態ですが、あくまでも緊急の対応が必要な場合に行われるサービスです。
往診は、緊急的に自宅で診察を受ける必要がある場合や、自宅で過ごす患者が突発的に病状が悪化した際に行われる医療サービスです。
一例として、2週間に1回の割合で訪問診療を受けている高齢の患者が症状の悪化をきたした場合に、救急車を呼ぶほどではないが不安を感じる際、訪問診療所へ連絡して往診を依頼し診察を受けるケースが挙げられます。
症状が激しい場合には救急車を呼ぶ必要がありますが、重篤ではないものの悪化が懸念される場合には、かかりつけの訪問診療所に往診が可能か相談することが推奨されます。
訪問診療とは、医師や看護師が患者の住む場所を訪問し、診察・検査・治療を行う医療行為です。
高齢者や障害を持つ方など、通院が困難なケースに適しており、自宅へ定期的に訪問することで健康状態を確認し、治療の方向性を話し合うといった医療サービスを受けられます。
医療従事者が自宅を訪問するため、利用者とその家族は通院に伴う手間やコストから解放されます。また、通院が義務ではなくなることで、ストレスを軽減できる点もメリットです。
ターミナルケアや看取りのように、住み慣れた場所で最期を迎えたい場合にも訪問診療は有用です。すでに訪問診療を利用している場合は、医療ケアの延長としてターミナルケアや看取りにつなげることが可能です。
訪問診療は、あらかじめ決められたスケジュールに基づいて利用者の居宅を訪問するサービスです。
訪問回数には制限があり、原則として1日1回・週3回までが限度です。ただし、疾患の種類や病状によっては、それ以上の回数を訪問することもあります。
訪問診療では、患者の診察と処置が行われます。具体的には、問診や触診、血液や尿の検査、点滴や投薬、経管栄養、尿道カテーテルやストーマケア、療養上の指導やアドバイスなどが実施されます。
急性期の症状など、専門的な治療が必要となった場合には、速やかに入院先を調整します。家族だけでの介護では見落としやすい兆候も、専門医による診察で早期発見や早期対処が可能になる点が訪問診療の利点です。
訪問診療の利用シーンは、通院が困難な場合と終末期で在宅看取りを希望する場合に分けられます。
病気や認知症、その他の障害によって通院が困難な方は、主治医が訪問診療を必要と認めた場合、在宅のまま診察を受けられます。終末期に入り、ターミナルケアや在宅看取りを希望する方も同様に、訪問診療で経過を観察しながら最期を迎えることが可能です。
回復の見込みがあり、自力で通院できる可能性がある方は対象外となります。また、月2回以上の訪問を希望したり、訪問診療を行う医療機関から一定以上離れた場所に住んでいる場合も対象外となります。
往診と訪問診療の主な違いは、診療の計画性の有無と費用面の違いにあります。それぞれの特徴について詳しく解説します。
診療の計画性の有無とは、診察を計画的に行うかどうかを指します。
訪問診療では、あらかじめスケジュールを立てたうえで患者を訪問し、医師や看護師が計画的に医学的管理を実施します。事前に計画された診察に基づき、その時々で必要な処置が行われます。一方、往診は緊急性がある場合に限られ、事前の計画に基づいて行われるものではありません。
訪問診療は、原則として月2回程度の訪問が行われます。継続的に実施されるため、訪問回数に応じた費用がかかります。
一方、往診は1回ごとの訪問であり、診察が継続するわけではありません。そのため、往診を受けなかった月には費用は発生せず、必要時にのみ利用できる医療サービスといえます。
往診は1回きりで、緊急性の高い場合に利用される医療サービスです。一方、訪問診療は、定期的な訪問を通じて健康管理や治療方針を決定する医療サービスです。
ここからは、それぞれのサービスに適している状況について解説します。
慢性疾患を持つ患者の医学的管理には、訪問診療が適しています。
糖尿病や心疾患などの慢性的な病気を抱える方は、定期的な通院や検査を通じて医学的管理が求められます。訪問診療を受けた場合、医師が患者の状態を確認し、投薬や薬の管理を行い、医学的立場から助言を行います。
これにより患者の健康意識が高まり、継続的な健康チェックが可能となります。患者だけでなく、その家族も医師が定期的に訪問することで治療やケアの方法を再確認し、生活の質を高めることが期待されます。
往診に適しているケースとしては、自宅で生活する高齢者や家族のケアを受けている方が急に体調を崩した場合が挙げられます。
一人暮らしの高齢者は、突然の体調不良が起きた際に速やかな対処が困難なことがあります。送迎が利用できず、自力で通院することが困難な場合は、往診を依頼できます。
家族からケアを受けている方も同様に、救急車を呼ぶほどではないものの緊急性の高い症状が出た際には、往診を受けることで医師や看護師から適切な対応を受けられます。これにより、体調や症状を正しく見極めることが可能となります。
本記事では、往診と訪問診療の特徴や違い、それぞれのサービスに適した状況について解説しました。
往診と訪問診療はいずれも医療従事者が自宅や施設を訪問して提供するサービスです。訪問診療は継続的に利用する一方で、往診は1回ごとの対応となる点が異なります。
また、自力で医療機関に来院できない方のためのサービスであるため、緊急時に備え、利用可能な医療機関を確認し、訪問診療や往診に対応しているか事前に把握しておきましょう。
市川市・浦安市で訪問診療の受診をお考えの方は、
南行徳の面野医院 (訪問診療専用番号 047-321-4600)へご相談ください。